今さら聞けないジュエリーとアクセサリーの違い

ファッションに興味がある女性たちなら、必ずといっていいほど、「ジュエリー」や「アクセサリー」をその日の着こなしに合わせてオシャレに飾ったりしています。

 シルバー、ゴールド、プラチナ、色んな材質で煌びやかなオシャレグッズがあなたの傍にあると思います。

『このアクセサリー可愛い♪』
『そのジュエリーどこで買ったの?』
『このジュエリーあなたにあげる!』

こんな会話がファッションライフの真ん中を飛び交ったりします。

でも、『ジュエリー』?『アクセサリー』?ん??

ジュエリーは宝石かな?アクセサリーはカジュアルなものかな?

言葉遊びはともかく、意味を知って使い方や使い分けをしないと、ちょっと恥ずかしい思いをする事も。(汗)

ここでは、そんな当たり前に使われる「ジュエリー」「アクセサリー」の違いを紹介していきます。

1.言葉としての「ジュエリー」と「アクセサリー」

まず最初に、言葉としてのそれぞれを見ていきましょう。
     
  • ジュエリー・・・英語で装身具全般の意味で、一般的に貴金属、宝石類を加工した装身具のことを言うが、宝石類を使い貴金属で作られた装身具を「ファインジュエリー」として区別する場合もある。
  •  
  • アクセサリー・・同じく英語で装飾品の意味。一般的に衣服を引き立てる為の装身具の類。
…はい。「言葉」としての解釈もとっても似ています。なんなら、『一緒でいいんじゃ?』と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

でも『言葉』の奥、活字の向こう側にはしっかりとした区別があります。

誰もがジュエリー・アクセサリーを高級ブランドのみで買う事ばかりではなく、小さなブティックやハンドメイド作品に触れる機会も増えている今、
そこにある「しっかりとした意味」を知る事は快適なファッションライフには案外重要。

誤った商品を手にしない様(販売店が意味を間違っている様なメーカーは信用しにくい…)に、また、作家様などが販売する際にも、しっかりと峻別して、自身の信ぴょう性とお客様の安心を提供出来るような願いを込めて、この続きを綴ります。

2.実際の『ジュエリー』とは?

ここでは今度は「言葉」の外側、『実質』や『感覚』としてのジュエリーを掘り下げていきましょう。

私なら、やはり「ジュエリー」という言葉は、率直に「高級」、そうでなくても宝石を想像してしまいます。
「jewel(ジュエル)」の宝石といった意味が一般的に浸透しているからでしょう。
crown ただ、この「印象」から、なんの根拠もなく『こちらのジュエリーピアスはいかがですか?』とか、この『ジュエリー(指輪)はお客様にとてもお似合いです』などと紹介された商品がお手頃な価格であれば、「お得感」を感じて喜んでしまう事もあるかもしれません。(もちろん、ブティック様や販売者様が、必ず適当に言っているなどと批判する趣旨ではありません。)

そんな曖昧さや、消費者の錯覚の回避、あるいは、一定の品質を保持する為に、実は日本ジュエリー協会(JJA)をはじめ、海外を含むいくつかの機関がその「ガイドライン」を出しています。

そういう意味では、ある一定の規定があると解釈出来ますね。

そんな、一般的に規定されたジュエリーの正体をご紹介していきます。

2-1.ジュエリーの定義

ファッションの関連項目に、「数学」的な断言できる公式・定義はありません。
それをあえて、消費者の不利にならない様に作られるのが各種ガイドラインです。ここでの「定義」はそんなガイドラインについて掘り下げていきます。

ジュエリーを掘り下げるとき、まず「貴金属」である事が定義されています。

JJAの定義を引用すると、

装身具のうち、素材に貴金属を使い、天然宝石を用いた装飾品

とされています。

ここからは、この規定に基づき、更に深めてみていきましょう。

2-2.貴金属とは?

貴金属とは、一般的に
  • プラチナ
  • パラジウム
  • ロジウム
  • イリジウム
  • ルテニウム
  • オスミウム
(及び、それぞれを主とする合金)
これら、8種類。

もし『こちらの商品はニッケルのジュエリーです。』なんてケースがあれば「???」となるわけですね。(さすがにこんな経験はありませんが…)

これらの規定は、一般的に「消費者」が不知による損害・不利益を被らない為に想定されているとされています。

例えば、このガイドラインがなければ、

『ステンレスを何度も色んな種類の溶剤やグッズを使って洗練した上質な加工をしたから「貴金属」』といった風に、メーカー・ブランドや作家によって、「貴金属」が乱立します。そうなると、極論では、錆びた鉄すら貴金属と謳う事も出来てしまう理屈が成り立ってしまいます。

特に、普通にファッションやおしゃれを楽しむ女性からすれば、優先すべきは見た目のセンス、そしてお値段。付加価値や決め手として「素材」に目を落とす事が多いと思いますが、そんなとき、「錆びた鉄」を『貴金属なんです♪』と言われたら…、これは立派な不利益。

付加価値を不当に割り増しした表現が出来てしうといった事態になります。ですから、こういったルールは消費社会の平等の為にはとても重要だと言えますね。

2-3.宝石とは?

ジュエリーをひもといて、「貴金属」を解いたら次は「宝石」を知ってみましょう。
宝石も貴金属と同じく、JJA等がガイドラインを出しています。

宝石は、大別すると『天然石』と『人工生産物』に大別され、前者を宝石と規定するのが一般的です。


さらに細かく解説すると、

  • 天然宝石(宝石として認められるもの。人為的な操作のうち、カットや仕上げなどが加わっていないものを指します。)
      【ダイヤモンド・エメラルド・サファイア・ルビーなど】
  • 処理宝石(宝石として認められるもの。天然宝石に外見上の改良などのトリートメントを加えたものを指します。)
      【アクアマリン・コハク・シトリン・ジルコンタンザナイト・トルマリンなど】
  • 人造宝石(宝石として認められないもの。天然石とは異なるものを使って、天然宝石に近似するようにつくられたものを指します。)
      【イミテーションと呼ばれる加工で作られたもの。(ダイヤ風、サファイア風)・京都オパール・キュービックジルコニア・YAG・コランダム】
  • 模造宝石(宝石として認められないもの。ガラスや磁器、アクリルや木、骨などで加工された宝飾品を指します。天然宝石を模してないものもあります。)
      【現代ではアンティークの宝飾品として見る事もある。カットスチール・ラインストーン/クリスタルガラス(現在のスワロフスキー)など】
  • 合成宝石(宝石として認められないもの。天然宝石と同じ材質のものを化学的に合成させたものを指します。「偽物」と評される事もあります。)
      【合成ダイヤモンド・合成ルビー・合成サファイアなど】※クレサンベールのみ価値を認められています。
これらに識別されます。つまり、あくまで、天然の材質をそのまま綺麗に仕上げたものを「宝石」とし、それ以外はここでの宝石とは違いますね。

ここでの識別も、現代の科学の力を借りれば、酷似したイミテーションが案外簡単に作れます。
子供のおもちゃのアクセサリーだって、キレイに精巧に作られているものだってありますよね。

こういった技術の悪用から消費者を守るのが、ガイドラインであり、景品表示法など法律の整備にあります。

もちろん、信頼できるブティックやブランドメーカーでの購入であれば大丈夫です。

貴金属と合わせて、『格安』に手を出すときは、本当に『「天然」なのか?』という角度からの防御策があってもいいかもしれませんね。

2-4.ジュエリーとは?

これまでの解説での結論のとおり、
ジュエリーとは『貴金属(8種類)と宝石(天然宝石・処理宝石)からなる装飾具』
といった結論です。

この解釈を『もの』としてのジュエリーだと思って下さい。

更に、消費者をよりハイクオリティなジュエリーと繋ぐために、「貴金属」の含有率にも一定のルールがあります。

もちろん純金や、純プラチナであればなんの疑いもなく貴金属ですが、純金なら「非常に柔らかく加工しにくく破損しやすい」といったデメリットがありますし、「純プラチナは同じく柔らかいし、本来のプラチナ色より黒っぽく見える」といった欠点といえるかもしれない部分もあります。

そういった部分を解消し、審美的に優れたジュエリーを作る為、多くのブランドは貴金属合金を使用しています。

例えば、18金、プラチナ950、スターリングシルバー。聞いたことがある名前もあると思います。

これらは、貴金属を安定させてり、色味を整える目的で整えられた「割り金」という他の金属と合わせたものなのですが、

極端な話ですが、『単に「貴金属」を含んでいればいい』としてしまうと、【金1%、ニッケル99%】のような合金があったとして、それも「貴金属」となり、それも「ジュエリー」となってしまいます。

こういった消費者の不利を無くすため、JJAをはじめ、「ジュエリーとする貴金属の含有量」を定めています。
(参考はJJAガイドラインより)
  • 金・・・・・・1000分の375以上の金が含まれるもの。(9金以上)
  • プラチナ・・・1000分の850以上のプラチナが含まれるもの。(Pt850以上、それ以下のものは別途に「プラチナ800のジュエリー」などと別に区分する。
  • 銀・・・・・・1000分の800以上のシルバーが含まれるもの。(Sv800以上、スターリングシルバーなどは含まれます。)
  • パラジウム・・1000分の500以上のパラジウムが含まれるもの。(Pd500以上)
  • ※この他の貴金属(イリジウム、ロジウムなど)は、解説に入るとすごく難解な化学解説になるので割愛します。実際、この他金属単体のジュエリーは恐らくない、一般的ではないもので、少なくとも私は見たことがありません。
この基準を参考に、お手持ちのジュエリーが、「一般的なジュエリー」なのか?、または、今後、新しいお店でジュエリーを触れる時、素材や価格としての不利益に出会わないよう参考にして下さい。

尚、貴金属には原則として、その合金率等を示す刻印があり、その刻印がそのジュエリーの名札になっています。
リングの内側や、ネックレスの引き輪のあたりにありますので一度チェックしてみてもいいかもしれませんね。
刻印や貴金属の詳細については、「貴金属の素材の意味を知って正しく扱おう」:参照

2-5.日本と海外の基準は一緒?

日本製でも素敵なジュエリーはたくさんありますが、どちらかというと、身近に触れる、またはあこがれるのは海外の有名ブランドジュエリーが多いかと思います。

「日本と海外の基準は一緒?」に結論から答えると、『NO!』

日本でも、厳密にはJJA他様々な機関があり、その基準に若干の差異はあります。同様、世界規模ではもう少し幅があるので、そのあたりを少し補足します。

そもそも、世界的に見たときにこの基準が違うのは、ざっくり『感覚』と『情勢』によると考えます。
最も「違い」と「結論」の分かりやすいプラチナを例にしてみます。

プラチナジュエリーの基準

  • 日本【Pt850‰以上】、実際はマリッジリングなどにPt900を用いる事が多い。(パラジウムを含み加工がしやすく安定するといった意図。
  • アメリカ【Pt850‰以上】、日本と基準は同様だが、500‰以上のプラチナ属のみの合金にも「プラチナ」の表記を認める。融通性を含む。
  • イギリス【Pt950以上】、この品位以下を「プラチナ」と表記出来ない為、カルティエやティファニーなどの海外ジュエリー品に多く使われる品位。
主だったところでこんな感じです。

日本製の国内向け「プラチナジュエリー」であれば、加工しやすく効率のよい、かつ、審美性も優れたPt900を使用するのは合理的ですし、海外ブランドがPt950を使うのは、イギリスも含むグローバルスタンダードな販売促進ですから、必然的にそうなります。

ちなみに、品位(含有割合)が高い方が高級(高額)イメージをお持ちかと思いますが、実際Pt900とPt950では1グラム100~200円(日によって異なります)程度の差。実際それぞれを加工しジュエリーにした事を想定すれば、ざっくり1万円程度の差は出るかもしれませんが、それほど極端に「高級感」を謳える程の金額差はありません。

つまり、日本メーカーがPt900で国内需要に目を向け、海外ブランドがPt950で世界のファンに届ける。この単純な供給を実現させる為に、真摯にガイドラインに従った材質でジュエリーを提供している。ということになります。

尚、一部例外として、貧困国や、犯罪的な見地から、この基準や品位を意図的に改ざんするケースもありえます。(犯罪です)
これも広い目で見れば、「その国の基準」ということにもなるので、ジュエリーに原則的に刻印か明示される製造国にも少し目を向けると、ジュエリーを見る私たちの目は国境を越えてくれると思います。

3.アクセサリーとは?

冒頭の『言葉としての解釈』で、「一般的に衣服を引き立てる為の装身具の類。」とご説明しました。

とても「ジュエリー」の説明と近似していましたが、そこから「ジュエリー」についての解説を掘り下げたので、ジュエリーのイメージは固まったと思います。

『アクセサリー』…、ジェエリーのイメージを固めた今、その定義はとっても簡単に見えてきますよ、少しゆるーく解説します。

3-1.アクセサリーの定義

上にも書いた、「アクセサリー」の言葉の意味は、ファッションに傾倒した説明と狭義的ではあります。

もっと広く、文字・活字として「アクセサリー」を紐解くと、『補助物・付属品』の意味を持ちます。(家電に別売でついている付属物もアクセサリーといいますよね。)

こっち側の「アクセサリー」をファッションに落とし込んでみれば、
アクセサリーは、独立して機能はあるが、その日のコーディネートのなかで他の主体となる衣服に付け加える品目、アイテム。

となります。

また、単に『アクセサリー』そのもののみを手に取って、「これはアクセサリーかな?」と悩んだら、
装身具のうち、ジュエリーではないもの!
といった見方が案外消去法の正解です。

「ジュエリー」の意味をしっかり踏まえたら、アクセサリーの定義は案外簡単でしたね。
特に刻印なんかにもしっかり目を向ければ、その区別はもっと正確に出来るようになりますよ。
diamond 最後に、「ジュエリー」、「アクセサリー」を具体的な例をあげて区別してみますね。

【ジュエリー】()内は刻印の例

  • ホワイトゴールドに0.05カラットのダイヤの付いた指輪(K18WG D0.05)
  • ピンクゴールドのチェーンのネックレスに1カラットサファイアのモチーフ(K18PG S1.00)
  • 海外有名ブランドのプラチナネックレス(Pt950)
  • 18金のシンプルなバングル(K18)
  • スターリングシルバーのみで作られたピアス(Sv925 sterling)

【アクセサリー】

  • ニッケル金具にコットンパールのピアス(刻印なし)
  • スターリングシルバーのチェーンにレジンモチーフのネックレス(チェーンのみSv925)
  • 18金張り加工のブレスレット(K18Gf(ゴールドフィルド)
  • 金メッキのチェーンにサファイアの原石を使ったネックレス(チェーンにK18Gp(ゴールドプレート)
  • 朧銀のみで作られたピアス(刻印なしか、Sv250など)
こんな感じです。

お手元のアイテムが必ずこれに当たるとは思いませんが、理解度チェックとして参考にして下さい。

4.まとめ

diamond2 『今更聞けない…』と、コラムの題を起こしましたが、結構深く掘り下げてみました。いかがだったでしょうか?

実際、こういった理論だてた見方をしていた人は少ないでしょう。
自分で楽しむ分には、どんな素材でも「宝石」で「ジュエリー」でいいとも思います。

その価値は、自分が決めるものですから。

ただ、人にプレゼントするとき、作るとき、販売するとき、話すとき、
時に「知らない」や「間違い」は恥ずかしい事になりますし、いざ対価をもとめる立場の場合トラブルになる事もあります。

単に言葉遊びを紹介したかったのではなく、
『ファッション』の基本は、他人と絡む事で意味がある事がほとんど。見てもらう、ほめてもらうなどがそうです。

人に自分の大切なジュエリーを見せたとき、「それジュエリーじゃないよ?」とか言われると、驚いたり、あるいは、そのアイテムを嫌いになったりするかもしれません。

大切なものを大切に、お気に入りをお気に入りとして使うためにも、知識として引き出しいれておいて快適なファッションライフをお過ごしください♪