【素材別】シルバー・金の黒ずみの原因&適切なお手入れ方法

恋人からのプレゼント、お母さんの想いでの品、初めて買った自分へのご褒美…アクセサリーは見た目のファッション性以上の想いを込めて大切にしている人もいらっしゃいます。

 値段が安いものや高いものとかではなく、自分が気に入った、想いのつまったタカラモノ…、それがある日使おうと思ったら、黒く「汚れ?」「錆び?」と、ショックを受けたご経験はありませんか?


多くのアクセサリーは何らかの金属によって作られています。

黒くなる原因を知って、管理して、対策する。
ほんの少しの工夫で、そのショックから逃れられるもんなんです。

おススメの方法をご紹介しますので、大切なタカラモノと、もっともっと長い時間を一緒に過ごしてあげて下さい。


1.金・シルバー・銅など素材によって違うアクセサリーの黒ずみの原因

多くの方が“黒ずみ”を見たとき、まず「汚れ」を疑い「酸化」を疑うかもしれませんが、これは「半分正解」で実は素材や状況で原因はいくつかに分かれます。

1-1.銀(シルバー)

silver シルバー製品の黒ずみであれば、まず「酸化」ではなく、銀は酸素に対して安定している素材で、酸化するケースは非常に稀です。

化学的な解説は最低限にとどめますが、シルバーの場合は空気中に微量に含まれる硫化水素や人の汗などの分泌物に含まれる「硫黄成分」と結合して「硫化」する事が原因の多くであったりします。

「硫黄質の温泉に着用のまま入って黒くなって驚いた」といったご経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、これが硫化による黒ずみです。

また、「塩化」といったケースもあり、硫化をご存知で対策したのに直らなかったといった場合はこのケースも考えられます。

実際よく聞く話ですと、アクセサリーご使用の状況で、塩素系洗剤を使った場合などがあります。

塩化銀は日光にあたる事で黒くなる性質があり、これも黒ずみの原因ですね。この「塩化」であれば、この塩化塗膜は非常に頑固で固く取れにくい性質もあり、もとの状態に戻すのはとても苦労します。

少し化学的な事を書いたのは、黒ずみの直し方の説明へと紡ぐ為なのですが、この「酸化」(真鍮・銅・18金)、「硫化」「塩化」(銀)であれば、学生のころに習った『還元』といったアプローチになります。

酸化の還元と硫化や塩化の還元の方法は違いますので小難しい表現を並べてみました。
(もちろん、小難しくない簡単な直し方を紹介しますのでご安心下さい)

この他にも、単に汚れの場合や、金属の腐食の場合もあったり、集中的な小傷が黒ずみに見えるケースもあります。


また、「シルバーは、基本的に酸化しない」と書きましたが、お手元のアクセサリーは本当に『純銀(SV1000)』でしょうか?


一般的にアクセサリーに使われる銀は「SV925・AG925(スターリングシルバー)」であったり、「SV950(ブルタニア)」である事も多く、これはスターリングであれば7.5%の割合、ブルタニアであれば5%の割合で、銅やアルミニウムなどの合金となっています。

銅であれば酸化、アルミニウムなどの他金属であれば腐食する事もあるでしょう。

これは普通に店頭で悪意なく「銀製品」として売られている事もあるので、お手入れに関してお手持ちのアクセサリーの知識は正しく備えておきましょう。

1-2.金(ゴールド)

gold 金も同様で、24金なら黒ずむ事はあまりないのですが、18金が黒くなる事があるのは合金だからです。(18金も銀や銅による合金)

尚、シルバーやゴールドを合金にする理由は、単純にコスト面ではなく、ピュアシルバー(SV1000・純銀)や、K24(純金)が金属としては柔らかくその安定性を上げる為に「銅」をいれたり、ピンクゴールドなどの女性に人気の金属はその色味を出すためにやはり銅を合わせているからです。

その商品の審美性や加工性質を高めるために、『銅』や『アルミ』『銀』などの安定した力を借りている事が概ねです。

銅のアクセサリーとしての安定性はこちらで詳しく解説しています。

「銀だから硫化!だからこの方法で!」このイメージは黒ずみの対策にならない場合があるばかりか、修理溶剤によっては金属の症状を酷くするケースもありますので注意が必要です。

1-3.多くのアクセサリーは合金でできている

gold
  • 18金(金75%、銀15%、銅10%)→ゴールドアクセサリーとしてよく使われています。
  • ピンクゴールド(金75%、銅15%、銀10%。他のイエローゴールド等も金の割合は同じで色を再現する為に合金比率を変えています。)→デザイン性に富んだアクセサリーのアレンジ品によく使われています。
  • プラチナ900(プラチナ90%、パラジウム、イリジウム等10%)、主にマリッジリングの定番。海外の有名高級ブランドなどではプラチナ950を使用していますが、これは、外国の法律にざっくり、『プラチナジュエリーは95%以上のものにして下さい』といったものがある為で、プラチナ1000は柔らかすぎる為に加工に適していない部分もあり、こういった合金が定番化しています。
  • シルバー925(銀92.5%、銅、約7%、他)、スターリングと呼ばれるもので、有名ブランドも多様するシルバーアクセサリーの定番です。やはり純銀の柔らかさを補う為に合金にされています。
  • シルバー950(銀95%、銅約5%、他)、ブルタニアの呼称でスターリングに次いでシルバーアクセサリーに使われています。マイナスイオンを発生するゲルマニウムなどと混ぜた健康グッズとしての使われかたも見かけます。

殆どの貴金属には刻印があり、品質を保証されています。

黒ずみの修理に取り組む前に、大切なアクセサリーの組織を知ってあげる事が大切でそれによって「汚れ」「酸化」「硫化」「他」を考えて向き合う事が重要です。

2.簡単に出来る黒ずみの落とし方

先に書いた通り、お手元のアクセサリーの黒ずみの原因に予測がついたら修理・還元していきましょう。
(ご家庭で行える簡単な方法をご説明しますが、原因が違っていたり、特殊加工塗膜を施してあるアクセサリーもあります。くれぐれも慎重に方法を見つめて下さい。)

2-1.硫化による黒ずみの場合(シルバー製品など)


①重曹を使う(酸化還元)

【用意するもの】
  • 重曹
  • アルミホイル
  • お湯(80度程度)

【手順】
1.アルミを握ってシワシワにした容器を作って、銀製アクセサリーを入れ、そこに大匙1杯を目安に塩を入れておきます。(多くても大丈夫です。)

2.1に80度くらいの水と重曹を溶かし溶液を作ります。
(平均的な目安分量は水200㎜に対し重曹10g程度(粘度が出る程度)の分量、硫化の程度によって濃度はご調整下さい。)

※火傷しないように棒状のもので少しアクセサリーを振ってあげるとより効果的です。
(金属性のものは使用しないでください。一緒に反応を起こし、質を損ねる可能性があります。)
※硫化が原因の場合は綺麗になっていく様子を視認できると思います。

3.2~3分程度を目安に取り出して水洗いして、水分をふき取ります。
割と認知度の高い汚れ落とし方法です。

硫化した銀(硫化銀)から「硫(イオウ)」を取り除けば元通りの綺麗さに戻ります。

用意するものは料理のレシピみたいですが、化学と電子の力を借りてもとに戻しましょう。

重曹(炭酸水素ナトリウム)とアルミの化学反応で黒ずみを還元(修理)します。

化学式などの解説は複雑ですし、理系じゃない方ならめんどくさいとお感じになられるかもしれませんからイメージをお伝えすると
  
『とても綺麗な銀にドロッと濁ったイオウがつきまとって黒くなりました。どろどろに濁ったイオウ化銀になって離れないので、同じお風呂に入れて離れやすくします。(重曹溶液、電解質)

イオウ化銀にショック(電子)を与えて引き離しましたが、(酸化還元)イオウはまた銀にくっつこうとお風呂の中を浮遊しています。

このままではまた銀にくっついてしまいます。

ですから罠を張りました。お風呂はイオウがもっと大好きなアルミで出来ていたのです。

イオウはアルミとくっついて落ち着きます。イオウが離れてくれた銀は本来の輝きを取り戻しました。』

といった感じですね。

単純な黒ずみ、硫化が原因のアクセサリーであれば、初めての方は喜んでくれるような不思議な復活をとげますよ。

※また、この方法の前段階として、塩のみの溶液で効果を得られる場合もありますが、ほぼ同じ方法で、より効果が狙えるので、重曹使用の方法としてご紹介しました。

②炭酸水を使う(酸化還元)

【用意するもの】
  • アルミホイル
  • 炭酸水(飲料でも可…ですが、糖分のあるジュースは違う反応を起こしかねないんでおすすめしません。)
  • ウエス(布、タオル、眼鏡ふき)
【手順】
1.フロスに炭酸水を染み込ませてアクセサリーの表面をふきとります。
 軽度な黒ずみや、適した修理方法であればこれでキレイになる場合もあります。
 仕上がりが思ったようにキレイにならなければ、2へ。

2.くしゃくしゃにしたアルミホイルの中に炭酸水を注ぎ、そこにアクセサリーをある程度漬けこみます。
(酸化還元はある一定以上起こらないので、つけたまましばらく様子を見て下さい。)
3.取り出して、水分をふき取る。

基本的には、重曹と同じ反応を利用します。

重曹は別名で炭酸水素ナトリウム。これにクエン酸を加えたものがいわゆる「炭酸水」で、さらに糖分を混ぜたものが「ソーダ水」などです。

ですので、仕組みは「重曹」とほぼ同じですが、促進の意味のある「塩」や「化学反応を起こしやすい溶液温度」を満たしていないので、重曹に比べると効果は低い場合があります。

利点としては、よりお手軽に行える為、「軽度なものであればこれで手軽に解消できる。」といった事があげられます。
※大きな効果を期待すると、仕上がりがものたりないかもしれません。ですが、準備がとても簡単ですから、これで程度を試してみるのも大ありです。

③牛乳に浸けて優しくこする

昔、某テレビ番組で紹介された方法。やはり化学反応を利用したものだと思われ、ある程度の効果はあります。他、トマトジュースなどもいわれていましたね。
【用意するもの】
  • 牛乳(アクセサリーを浸せる程度)
  • 古いハブラシ
【手順】
1.牛乳を容器に注ぐ。(古くなったもので大丈夫です)
2.アクセサリーを入れる。
3.古い歯ブラシなどで表面の汚れを落とすように優しくこする。
4.水で流して水分をふき取る。
※非常に簡単な方法なので試してみるのもいいかもしれません。ですが、牛乳にも多数の成分や種類がありますので、慎重にお試しになられる事をお勧めします。

④歯磨き粉でこする

【用意するもの】
  • ハブラシ
  • 歯磨き粉
【手順】
1.アクセサリーを水に濡らして、歯磨き粉をつけた歯ブラシで洗浄する。
表面の変色部を落とすイメージです。

これも昔から「銀の黒ずみ落としに効く」とされていますが、個人的にはおススメではありません。他のサイトにもこの方法を説明していたりしますが、『研磨剤を含むものは避けて下さい。』とか『表面を削るので慎重に取り扱って…』といった注釈があります。

研磨剤を含む歯磨き粉は、化学に詳しくない自分には歯磨き粉の成分を見ても分かりませんし、表面を削るなんて、せっかくの大事なアクセサリーの表面を削ってキレイにするには抵抗があります。

これはあくまで個人的な見解ですが、実際「黒ずみの修理」といった部分にのみスポットライトを当てれば効果はあるので、ご紹介いたします。

(尚、この方法は、原因が「硫化」ではなく「酸化」や「汚れ」でも当然ながら同じ程度の効果が見込める、といったメリットはありますが、アクセサリーの表面に何らかの加工があったり、メッキなどをはがしてしまう可能性や、研磨剤が硫化被膜の下の銀そのものに小傷を作る事で曇ったように見える事もある。といったデメリットも添えておきます。)


※これもとても簡単な方法ですね。安価なアクセサリーで長く使わない予定のものであれば、この方法もいいかもしれません。

⑤市販のシルバークリーナーで洗浄する

ご家庭にあるものからは少し離れますが、化学反応やその成分に特化した溶剤です。シルバーで人気のTiffany純正品溶剤でも3000円以内で販売されており、その他の専門業者でもチリユリアといった成分を含むクリーニングに特化したものを安価で提供したりと、需要に合わせて多数販売されています。

また、シルバークリーナー用クロス(布)などもあり、利便性は昔と比べて遥かに高く、100円ショップなどで見かける事もあり、コストパフォーマンスもそれほど悪くありません。

黒ずみの酷いアクセサリーなどは、こういった、裏技ではない正攻法に頼るといった選択肢も含めて考えることはとても重要です。
  
「色々試したけど、最終的にはクリーナーを使って満足した。」こういうケースは決して少なくありません。

シルバー製品は決して安価ではありません。
その上質な輝きを保つ為には、裏技が必ずしも「お得」ではない事もある事も知っておいてくださいね。

2-2.酸化による黒ずみの場合(銅製品、真鍮商品など)

こちらも基本的には化学反応を利用して、まずは身近なものでのアプローチを紹介します。

硫化とはまた違ったものの活躍を見てあげて下さい。(今回は銅を例として説明していきます。)

銅などの酸化に弱いとされる金属は、空気中の不安定な成分である「酸素」が安定する為に銅原子から電子を奪って安定しようとする反応の事です。

①酢を使う(酢酸による酸化還元反応)

【用意するもの】
  • 容器
【手順】
1.容器の中に酢を入れて、塩を混ぜる。(塩は酸化の程度にもよりますから、目安の量などはありません。適量、程度を見て増減してください。)
2.銅などの酸化したアクセサリーを入れる。
3.酸化の程度にもよりますが、しばらく浸けておいて適宜取り出して下さい。
比較的認知度が高いのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

この方法は、原因が「酸化」であれば非常に有効な方法です。食酢の主成分は「酢酸」で、酢酸は酸化銅になった銅(真鍮なども)に電子を与える特性があり、酢酸自身は銅に電子を与え自分は失い酸化された事になります。この還元を利用した修理方法です。

塩を入れるのは、『銅イオン』とか『錯イオン』など、より化学を掘り下げないといけないのでまた少し省略してイメージ的なお話しにしますが、酢から電子をもらった酸化銅は、「それでも銅に戻ろうとする」ものと、「水に溶けるもの」に分かれます。

塩を溶液にいれておく事で、溶液が受け入れられる酸化銅の枠に余裕ができるドーピングのような効果だと思って下さい。受け入れに余裕ができた溶液はより酸化銅を吸収する事で、早くキレイに直す事が出来ます。


※もし、この方法をご存じなければ、酸化してしまったアクセサリーの復元に驚くような結果を期待できます。身近な10円玉などで実験してみても面白いかもしれませんよ。

②タバスコを使う(酸洗による酸化還元反応、理科の実験などで使われたりします。)

【用意するもの】
  • タバスコ
  • 容器
【手順】
1.タバスコを適量の水で薄め溶液にして、アクセサリーを入れる。
2.適宜取り出して、水洗い後水分をふき取ります。
この方法もよく公開されていますが、実際効果はあります。

が、原理は、「酢酸」の時と同じで、タバスコの主成分は「酢」。なので、上記のとおり、効果はありますが、当然、タバスコには他の成分も入っているので、酢よりも効果は期待できないと思われます。

酢がない場合や、軽度な症状、または実験的な意味で試してみるのはいいかもしれませんが、さまざまな合金や、加工、パーツが使われているアクセサリー、ものによっては「唐辛子」の赤が移染する事もあるので、取り扱いは慎重に!

※同じような、家庭にある酸を含むものとして、醤油・マヨネーズ・ケチャップ・トイレ用洗剤(酸性)(※酸が強すぎてアクセサリーの質を損ねる可能性あり)などがあります。

③歯磨き粉でこする


『硫化』の説明参照。
同じように表面を研磨するので、アクセサリーの品質に害を与える場合があるのでおススメしません。「塩」による磨き上げや車用コンパウンドをお勧めするサイトなどもありましたが、個人的な見解ですが、表面研磨ですので避けて頂きたいお手入れ方法です。
※安価なアクセサリーだから、など、デメリットをご理解のうえお試しになられる方は『硫化』部分をご参照下さい。

④市販の酸化除去剤を使用する


『硫化』(銀)のところにも書きましたが、酸化膜を除去されている溶剤が売られています。

どちらかというと、アクセサリーの手入れに関するお店よりも、DIYのホームセンターなどの方が見つけやすいかもしれません。

価格はものにもよりますが、数千円程度。Lilmineでも独自に手配した酸化膜除去剤を使用してアクセサリーを保持しています。

このときの注意事項としては、シルバークリーナー(銀・硫化に特化)では同じ結果が期待出来ない事。

酸化が原因の場合は「酸化除去」とか「酸化膜除去」などと書いている溶剤をご使用下さい。原因が異なるので、まったく効果を得られない事もありえますので注意が必要です。

※こちらも、家庭に常備していないものですが、大切にしているアクセサリーの黒ずみの原因が酸化であるなら、こういった正攻法も視野にいれましょう。

2-3.汚れによる黒ずみの場合(金製品、他全てのアクセサリー)

「ゴールド」を筆頭にすべてのアクセサリーにありうる「汚れ」、特にゴールドを特記したのは、「金は非常に酸化しにくい金属性質」といった事もあり、K24(純金)の黒ずみの殆どは、汚れに位置します。
(先に書いた通り18金やピンクゴールドなどは合金ですので酸化修理などが有効な場合があります。)

本来の原因ではなくてもアクセサリーをご使用するうえで「汚れ」は普通に起こります。

単にふき取りで取れる場合もありますが、アクセサリーを長く大事に使うため、少し頑固な汚れに有効な方法を紹介します。
(ここでは「金製品」を前提にご説明します)

①台所洗剤を使う(表面の汚れを掃除する)

【用意するもの】
  • 食器用洗剤
  • ハブラシ等表面に傷を付けない固さのもの
【手順】
1.食器用洗剤をぬるま湯で薄める。
2.アクセサリーをいれて、(表面に傷がつかないように気を付けて)磨く
3.水洗いで洗剤を落とし、水分をふき取る。

もし、これでも十分に落ちていなければ、鍋に洗剤をいれた水で沸騰させてその中にゴールドアクセサリーをいれて汚れを浮き上がらせる。(10分程度)
4.やけどしないように冷水につけて、水分をふき取る。

あくまで原因が「汚れ」であれば、これで結構きれいになるもんです。
ただし、十分な結果が出ないからと強くこすったりするのは厳禁です。

ゴールドアクセサリーには、18金やカラーゴールドなどの合金の他、金メッキや、GF(ゴールドフィルド)などの表面のみに金の良さを加工しているものも多くあります。

表面を強くこする事で台無しにしては全く意味がないので、納得できない結果の場合は違う方法をお試し下さい。

②薄めたリンスを使う(界面活性剤の特性を使う)

【用意するもの】
  • リンス
  • ハブラシ等表面に傷を付けない固さのもの
【手順】
1.リンスを薄めた容器にアクセサリーを入れる。(アクセサリーに直接塗っても大丈夫です。)
2.(表面に傷がつかないように気を付けて)磨く。
3.水でよく注ぎ、水分を拭き取る。
と、異なる方法のように書きましたが「台所洗剤」「薄めたリンス」の2つの方法は基本的に原理は同じです。

界面活性剤の「水に馴染みやすい成分(親水基)」と「油に馴染みやすい成分(疎水基)」の特性を使い、表面の汚れを浮かせて取り除くイメージです。

ここで紹介したものの他、同じ成分を含むものとして、「石鹸」や「化粧クリーム」などがあります。
(最近ではさまざまなバリエーションの商品が発売されているので、全ての商品にあてはまるわけではありません。)

③超音波洗浄機を使用する(貴金属店や眼鏡店等でサービス提供してくれている所もあります)

【用意するもの】
  • お近くの貴金属店等に問い合わせる事。
直接店頭に行く前に必ず問い合わせて下さい。
無料でサービスしてくれている所もありますので、近くに「かかり付け」を見つけると何かと助けになる事もあり、長い目でみればおススメといえます。

超音波洗浄機が汚れを落とす仕組みは、すごーーく科学的で、「周波」や「Hz」「λ」など、「科学者が事件を推理する有名ドラマ」のような式などに触れなければならないので、割愛させて頂き、ざっくり「超音波の力を借りて汚れを落とす」イメージで十分でしょう。

頑固な汚れ(合金による酸化や硫化が原因ではない)の場合で、お試しになられてもいいかもしれません。
化学ではなく、科学のアプローチですね。

2-4-1.塩化による黒ずみの場合(銀製品など)


また少し話題をシルバーに戻しますが、表題の「塩化」。これにも化学的な還元を使ったアプローチが可能ではありますが、この塩化はかなり戻しにくい(戻らない)事もあります。ですので、「塩化」しないようにする事がまず大切です。

銀は塩化すると「塩化銀」になり、日光を受けて黒く見えます。
ですが、硫化や酸化と違い、空気との反応では起こりません。最もスタンダードに塩化するケースは『漂白剤』、「うっかりポケットに入れたまま漂白剤に」とか「つけたまま、台所漂白剤を使った…」など、ご使用時の過失といったものが多いので、まずそこを注意して下さい。

①日光にあてる(焼きだしと言われ、古くからある方法)

塩化銀から黒ずみを落とすには、化学的に「銀イオンの還元」となりますが、ご家庭や市販のもので大きな効果を出せる方法はありません。(電解や電極が必要になります)
  ですので、数少ない取り組める方法が、この「焼きだし」です。
【用意するもの】
  • なし
【手順】
1.銀のアクセサリーを日光にあてて放置する。

以上です。

昔からある「銀塩写真」の原理と同じで、銀のイオン化しやすい特性を利用したもので、「塩化銀に光をあてて銀イオンを還元する」化学的な根拠と、「銀塩写真」といった事実が効果を裏付けるのですが、実際は効率性が悪く、効果を確認するのにかなりの時間を要する可能性が高い方法で、おススメとは言えません。

実際、そのシルバーアクセサリーの原因が「塩化」であれば効果をいずれ確認できるかもしれません。

ですが、そのシルバーはSV1000(純銀)でしょうか?もし、SV925やその他のシルバー合金であれば、空気・日光に当てることで「酸化」「硫化」の二次被害を起こしかねません。

試される方は、そのあたりをくれぐれも注意して下さい。

②写真現像液を使う(現像液は基本「還元剤」と言われ「還元」を起こされる物質)

写真現像液は、ネット上やカメラ店、写真点などで購入できる溶剤です。(少量なら数百円程度)

いくつかの種類の中で、ポリフェノール類なら効果的とも言いますが、例えば、「ピロガロール主成分」が当たります…、写真をご自身で現像される方ならピンとくるかもしれませんが、一般的には「さっばり…」となりそうです。

また、一部の現像液は海外では「発がん性を否定できない」とする成分や、「危険等級」が設定されていたり、正直、取り扱いに不安が残ります。

塩化銀から黒ずみを落とす原理としては、「還元剤の力を借りて還元する。」と、分かりやすく単純なのですが、その裏側には少しの不安が残る方法です。

やはり、試される方はその溶剤や取り扱い、また、アクセサリーの材質にくれぐれもご注意下さい。

「還元剤は塩化物にのみ有効」で、それ以外にはかえって品質を損なう可能性もありますので。


ご家庭で試せそうなものは以上です。
いずれも、効果への期待よりも悪化への懸念が強いと感じませんか?
塩化はとても厄介です。

塩化しないように大事にする心掛けが塩化による黒ずみと戦う方法といえるかもしれません。

2-4-2.塩化による黒ずみでアレンジ(番外編)

先ほど、『塩化』による黒ずみは厄介と強く書きました。

還元するのに苦労するからです。「なかなか直せない」からこそ、飽きたシルバーアクセサリーを部分的に黒くしてアクセサリーを遊んで違うアクセサリーとして楽しむ事も出来ます。

せっかくの機会なので、この方法も紹介しておきます。
【用意するもの】
  • 黒くしたいシルバーアクセサリー
  • 綿棒(細工したい大きさのもの
  • 塩素系洗剤(漂白剤)
  • (仕上げをする場合)スチールウール
【手順】
1.シルバーアクセサリーの黒くしたい部分に綿棒で塩素系洗剤を塗ります。
2.数秒で茶色く変色していき、やがて黒くなりますが、「塩化銀」の特徴の「日光に当たると黒ずむ」を利用して、日光にあてると早く反応します。
3.適度な黒さになるまで時間をおきます。
4.黒くしたくない箇所や仕上がりが不満な箇所は、スチールウールで研磨して仕上げます。

これでまた違うアクセサリーとしてお楽しみいただく事は可能です。
が、元に戻すことは非常に困難ですから、高級ジュエリーなどを冗談で試したり、悪用しないで下さいね。

2-5.全てのアクセサリーの黒ずみに悩んだら

crean 「日々のお手入れ」「お家庭での」とこれまでのものを紹介してきました。

一部の方法は特殊な溶剤などを購入したり、と、手間かかかるものもありましたね。

時間に追われる現代の女性たちへの有意義な情報として綴ってきましたが、本当に大切なアクセサリーの酷い黒ずみ(特に塩化)、これらの方法で直らなかったら、購入されたショップ・ブランドに相談して下さい。

メーカーにもよりますが、顧客へのアフターサービスは大事にしており、基本的に有名店であればあるほど、「出来ない」とは言わないでしょう。

某有名ジュエリーブランドでも1年間であれば無料で修理してくれたりするシステムもあります。

ですが、基本的に黒ずみは「経時変化(自然現象)」や「客過失」という評価にはなってしまいますから、有償の修理にはなると思います。

ただ、しっかりとしたブランドであれば「お母さんからもらった…」ような古いものや、クオリティカードなどがなくても親身に聞いてくれます。

また、小さなお店や個人、例えばlilmineでもそういったお声を大事にします。

その貴重な意見から、商品の品質向上に意識を向ける事も出来、結果、とても大きいスケールでは作り手とともに「黒ずみ」と戦う事にもなると思って下さい。

簡単な修理はご家庭でお試しいただきながら、酷い状態や、本当に大切なものは、この選択肢も十分おススメしたい王道の修理方法だと添えておきます。

3.まとめ

誰もが大事にしているアクセサリー、その輝きを邪魔する「黒ずみ」について、色々とご紹介してきましたが、いかがでしたか?

すぐに使えそうな方法もあるでしょうし、知っていたものもあるかもしれませんが、「酸化」や「硫化」、隠れた合金によって、するべき方法は違ってくる事もお分かり頂けたと思います。

アクセサリーがあなたと共に纏う想いまで、黒ずみのせいで風化してしまうのはとても残念です。

金や銀、銅や真鍮のせっかくの美しさとともに、褪せない時間を過ごしてほしい。そんな願いを込めています。
是非、色んな方法を知って頂き、参考にしていただけると嬉しいです。また、補足を付けますと、「塩化」の時に少し欠片を書きましたが、「酸化させない」「硫化させない」『保管』『保守』が長く使う上でとても大切です。

大切なアクセサリーを「直してあげる」優しさと、「黒くしない」思いやりがあれば、タカラモノはもっと長く、パートナーとして時間を過ごしてくれるものだと思います。

素敵なファッションライフをお過ごしください。