ジュエリー&アクセサリー(貴金属)の刻印の意味を知って正しく扱おう

ゴールド、プラチナ、シルバー、様々な貴金属がリングやピアスになってあなたの日常を飾ってくれています。

その大切なアクセサリーのどこかに『それっぽい』刻印があったりしませんか?

「G」とあるから『金かな?』、「S」だから『銀でしょ』、そんなイメージにしか普段触れていないかもしれませんね。

勿論、そのネックレスやイヤリングを「タカラモノ」としてファッションに取り入れる分には刻印の内容なんて関係ありません。「売る」事を前提にしなければ、「価値」的な観点だって不要です。

でも、本当に大切なアクセサリーだったら、長く使ってほしい。長く使うには、知ってあげないとちゃんと付き合えませんよね。
ここでは、刻印の意味や種類を紹介します。

「刻印の意味を知った上で正しいお手入れをしてする事が、本当に大切にする」といった意味にもなるのです。

色んな想いの込もった指輪やピアス、アクセサリー達の「刻印」が語る自己紹介を聞いてあげて、そのアクセサリー達に合った取り扱いをしてあげる。

ずっと長く使ってあげる為にも、その「自己紹介」を知ってあげて下さい。


1.貴金属(ジュエリー、アクセサリー)の刻印とは?

ここでは主に「金」や「プラチナ」といった貴金属に示される情報『品質』に関する刻印を解説していきます。

この貴金属の「刻印」にある文字や数字にはしっかりとした意味があり、それぞれ固有の意味をもちます。貴金属の刻印以外にも『ブランド名の刻印』、『宝石のサイズの刻印』などもありますので、しっかりと区別してアクセサリーの『名刺(刻印)』を見ていきましょう。
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1-1.金属の「保証」に必ず付けなければならないもの?

高級ブランドショップが提案する金やプラチナの貴金属アクセサリーには必ずといっていいほど、その品質の「刻印」が入っています。

実際、基本的な「貴金属ジュエリー」とされるものは、ISO、JIS、CIBJOの規格に適合し、「消費者が不利益を受けない為」を意図し、日本ジュエリー協会(JJA)がガイドラインを示しています。ですが、アンティークジュエリーであったりする「しょうがないもの」や、その他も義務つけてはいますが、実質、罰則のない『義務』、それ以上の規定はありません。

※偽った刻印をして製造されたジュエリーは詐欺の犯罪に該当します!

ですので、原則として、貴金属ジュエリーには「刻印でその貴金属の保証をしなければならない」が前提ですが、必ず全てのジュエリーがこの範囲に収まるわけではない。という事がこの段の結論になります。

1-2.刻印があれば安心?

普通であれば、『はい。その通りです』、そう答えられないと辻褄が合いません。ですが、必ずしもその刻印で100%の安心を得る事は出来ない側面もあります。(現行のジュエリーを正規のブティックやブランドでお求めになられた場合は、まず大丈夫!安心です。)

『100%安心ではないケース』原因は、その金属ジュエリーの高級性による「悪意」、そう。違法性に基づく、偽物です。
これだけ普通に「高額」「高級」が浸透しており、また、投資や金融資産としても金やプラチナが取り扱われる時代背景にはこういった負の側面も当然に出てしまいます。(造幣局検査の証である、通称「ホールマーク」も100%の信ぴょう性ではない…)

これを見分ける事は、ファッションのアクセサリーとして、これら貴金属を愛する私たちに見分けるのって殆ど不可能で(専門業者であれば目視検査や比重検査で分かる)、その手に取ろうとしているジュエリーの信ぴょう性、拝啓・作られた国など、正しい貴金属と向き合うには『刻印』の向こう側に「負」の世界がある事も知っておいてください。(当然、犯罪です!!)

尚、こういった「悪意」が出てしまう理由は、後述しますが、

貴金属「ジュエリー」には、一定の含有量以上の合金か純貴金属でないと『ジュエリー』として扱えないという世界基準のルールがある事に起因します。それもここで少し知っておきましょう。


貴金属ジュエリーには、それそうおうの理由があって、そのお値段があります。
安易に「何故かこのプラチナ安い♪」みたいな話はまずありません。信頼出来るお店、ブランド選びが安心したジュエリーライフにはとても重要だといえます。


2.貴金属ジュエリーの刻印の種類


ここからは具体的に貴金属ジュエリー、アクセサリーに見られる「刻印」の解説に入っていくのですが、

刻印は基本的に、

『主金属の元素記号(一般的にはアルファベット表記)』+「含有の千分率(数字)【1000を100%とする見方】」(金の場合は『24分率』(24を100%とする))

で、表記されています。次項から細分化して解説しますが、基本はこれのとおり。プラスアルファは、メッキや上貼りといった細かい表記になっていくもの。基本的な読み取り方はこんな仕組みになっています。
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2-1.注意すべき『刻印』の見方の基本点

先にご紹介した通り、貴金属の含有率は『1000』を『100%』という千分率や、もっと混乱しやすい「24分率」(金)というあまり身近にない読み方をします。

こうやって文字で見ると問題なく理解出来ると思うのですが、単位って結構錯覚させる事があり、注意が必要。

誰もが『1メートルは100センチ』、こういった単位の違いはこれまでの学習や生活で慣れ親しんでいます。

でも、『Pt(プラチナ)100』って見たとき、なんとなく「100%プラチナ」なイメージを持ちませんか?

実際、『Pt100』は10%のプラチナ、だいたい色味の近いシルバーが「Sv900」として入っています…。『プラチナっ!』と思って買ってしまったら、家で見て「あれ??」、こういった残念なケースは消費者センターにも悪意ある商行為として相談されているのです。

JJAはこういったケースに備えて「市場価格が高価でも、含有率の多い金属成分を刻印しなければならない」として、更に「100分率(100を100%)」と錯覚する刻印表記を禁止していますが、残念ながら、悪意ある製造者はこれを守らない…というより、むしろ悪用している節もあります。

ジュエリーやアクセサリーを楽しむ私たちが、こういった基本点を踏まえる事でこういったケースを未然に防ぐ事ができ、結果、自分のファッションライフが快適になっていくという意識も大切だと思います。

2-2.金・プラチナ・シルバーなど貴金属ジュエリーの刻印の種類と解説

では、貴金属ジュエリーの刻印を見ていきましょう。

先にも書きましたが、この「刻印」は「金属の元素+千分率(「‰」で表示、パーミルと読みます)(金は24分率)」で表記されます。この他、貴金属の表面加工なども細分化されており、代表的なものをいくつか紹介していきます。

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金(合金含む)の刻印

  • K24(または1000) 純金 (金含有率999‰以上)(Auも金の意味で、Au999と同意)
  • K20(または835) 20金(金含有率833‰以上)
  • K18(または750) 18金(金含有率750‰以上)
  • K14(または585) 14金(金含有率585‰以上)
※金以外の金属は、目的によって銀やパラジウム、銅などが使用されており、その配分で色味が変わり、俗に「カラーゴールド」と言われる合金になります。

(例)18金に色味を出した合金の刻印の場合…
  • WG (ホワイトゴールド) K18WGとなり、白色金の意味(金以外の250‰は主に銀などのパラジウム系やニッケル、銅など)
  • YG (イエローゴールド) K18YGとなり、黄色い金。 (金以外の250‰は銀:銅が4~6:6~4の比率の場合、これにあたる)
  • PG (ピンクゴールド) K18PGとなり、ピンク味の金(金以外の250‰は銅が6~7割を占め、残りが銀、パラジウム)
  • RDG(レッドゴールド) K18RDGとなり、赤金の意味(金以外の250‰は銀:銅比率、3:7以上に銅を含み、パラジウムを含まない)
  • GRG(グリーンゴールド) K18GRGとなり、青金の意味(金以外の250‰は銀:銅比率7:3以上に銀を含み、銀により青く見える)
※ここに示したその他の割り金は、実質メーカーによって異なります。あくまで参考としてご確認下さい。


金製品の加工形態による表記
  • GP (Gold plated) メッキの意味。(表面を金で薄く覆ったもの。「K18GP」は、18金の薄い金メッキで、金としての価値は少ない)
  • GF (Gold Filled) 金張りの意味。(金属の表面に金を貼る意味ではGPと近い印象ですが、その金属の質量(重さ)のうち1/20以上を金が占めるものに限定されます。一般的にメッキより上質とされています。) 
※これらGP、GFの他の金属はニッケルや真鍮などとされていますが、実際はジュエリーによって異なります。
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プラチナ(合金含む)の刻印

  • PT1000(999) 純白金、純プラチナと言われるもの。
  • PT950 950‰以上のプラチナを含み、残りはパラジウム等。(海外ブランドジュエリーに多い)
  • PT900 900‰以上のプラチナを含み、残りはパラジウム等。(加工の優れ、日本製に多い)
  • PT850 850‰以上のプラチナを含み、残りはパラジウム等。
  • Pm プラチナ刻印が『Pt』となる前の昔の刻印。一応850‰相当とされるが、それに満たないものも多い。
※プラチナ以外の割り金比率はメーカー、ブランドによって異なります。パラジウムが一般的ですが、金のように、色味が変わる事は基本的にありません。
  • PTP(PCP) プラチナメッキの意味。14金にプラチナメッキの場合K14PTPといった刻印になる。
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銀(合金含む)の刻印

※銀の刻印は、『AG』『Silver』『Sv』『名称』など + 含有率(千分率)になる事が多い。(ここではSvで解説していきます。)
  • SV1000(999) 一般に「純銀」と言われるもの。
  • SV958(950) 一般には950‰のものをさし、名称で「Britannia Silver(ブリタニアシルバー)」、残りの割り金は銅など。
  • SV925 銀の含有925‰以上、名称で「Sterling(スターリング)」、銅やニッケルを75‰含有し、加工性に優れる。最も多くジュエリー、アクセサリーに使われる)
  • SV900 銀の含有900‰以上、名称で「coin silver(コインシルバー)」
  • SV835 銀の含有835‰以上、名称で「Dutch silver(ダッチシルバー)」
※銀以外の割り金比率はメーカー、ブランドによって異なりますが、一般的には銅や亜鉛などとされています。
  • AGP 銀メッキの意味。
※他、厳密に割り金比率などを掘り下げるとキリがないので、この他の元素(金属名)のみご紹介します。


~上記外の貴金属元素~
  • Pd(パラジウム)
  • Rh(ロジウム)
  • Ir(イリジウム)
  • Ru(ルテニウム)
  • Os(オスミウム)
~主に割り金に使われる元素(主金属の場合もあります)~
  • Cu(銅)
  • Ni(ニッケル)
  • Zn(亜鉛)
  • W(タングステン)
  • Ti(チタン)
  • Fe(鉄)
  • Mn(マンガン)
  • Al(アルミニウム)
  • Sn(すず)
  • Cd(カドミウム)
  • In(インジウム)
  • Si(ケイ素)
  • Co(コバルト)
  • Mg(マグネシウム)
  • Ca(カリウム)
  • Ge(ゲルマニウム)
尚、JJAは、貴金属元素の他、割り金も刻印するのが好ましいとのガイドラインを出していますが、必ずその限りではありません。

例)Sv925(Cu)など。


ジュエリー、アクセサリーそのものを「気に入っている」というユーザーの心は刻印で変わる事はありません。

ですが、この含有率、割り金の種類や比率によって、保守管理や取り扱いが変わるのも事実。

一般的にシルバーが「黒ずみしやすい」などと言われるのは、その銀製品が「純銀」ではなく、『Sv925』などであるから、割り金がある事を知る事でもっと大事にそのジュエリー、アクセサリーを輝かせてあげることが出来るのです。



(…また、余談にはなりますが、例えば人から譲ってもらったK14Gpなどの刻印があるものを「14金♪」と金の取り扱い店に持ち込んだ場合…、少し恥ずかしい思いをする事もあります…)

3.まとめ

思ったより刻印の数って多いんですよね。

いかがでしたでしょうか?

この他にも、あまり見かけないので割愛しましたが、「メッキ」の刻印も複数あったり、定義があったり、単純に「刻印」としてもその枝葉は際限なく広がっていきます。


今回は、「金融商品」としての知識を補う目的ではなく、快適なファッションライフを皆さんに過ごして頂く為に紹介しました。


「プラチナ」「金」、誰もが知っている高級貴金属の裏側の名刺、それが刻印です。

『銀の含有率』を把握したり、「金の比重」を知る事、これはそのジュエリーの『あなた』にとっての価値を損なう事は決してありません。

人からの贈り物だとしても「Pt900だからPt950より想いが少ない!」なんて事は決してなく、それぞれの合金にはその特有の特徴・価値があるもの。その想いや「大切」さを守る為に、その刻印から特徴・組成を知り、手入れ、保守をする。


せっかくの大切なジュエリー・アクセサリーです。

名刺がついていて、それには意味があります。しっかり見つめてあげて、ずっと大切にしてあげて下さい。